新型コロナウイルスが猛威を振るったなかでも、2020年の中国の化粧品市場は活況だった。国家統計局によると、同年12月の化粧品類小売総額は前年同月比9%増の342億2000万元(約5680億5000万円)だった。3月こそマイナスだったものの、4月からプラスに転じ、11月は32.3%増の510億9000万元(約8480億9000万円)とコロナ前を上回る驚異的な伸び率だった。
そうした勢いに乗り、近年成長が著しい新興ブランド「完美日記(Perfect Diary)」を展開する逸仙控股(YATSEN)が11月、ナスダックに上場した。中国のコスメブランドが米国株式市場に上場するのは初めてだという。現在の時価総額は、109億ドル(約1兆1800億円)を超える。
化粧品市場の活況を受け、サプライヤもそうした動きに追随している。香料メーカーの西安天美生物科技(Bon Natural Life)」がナスダック市場に上場すべく、12月に米国証券取引委員会(SEC)に目論見書を提出した。
06年創業の同社は、陝西省銅川市と渭南市に生産拠点を有し、植物由来の香料やサプリメント、食品添加物などを生産している。「億邦動力」などの報道によると、P&Gや花王にも原料を供給している。また、同社は原料だけでなく完成品も生産し、OEM・ODM供給しているほか、粉末飲料やシャンプーなどの自社ブランドも展開している。
同社は、中国の香水市場の拡大に乗って成長してきた。19年9月までの1年間の売上高は、前年同期比52.1%増の1639万6000ドル(約17億7000万円)だった。ただし20年は新型コロナウイルスの感染拡大による操業停止を受け、同年3月までの6カ月間の売上高は16.6%減の715万ドル(約7億7200万円)だった。

中国国内市場でもサプライヤの動きは活発だ。00年創業の「南京科思化学(COSMOS Chemical)」は、20年7月に深圳証券取引所に上場した。同年第3四半期累計の売上高は前年同期比4.3%減の7億6000万元(約126億1600万円)と振るわなかったが、時価総額は62億元(約1029億2000万円)を超える。
同社は、江蘇省宿遷市と安徽省馬鞍山市に生産拠点を有し、日焼け止めなどの活性成分や合成香料を生産している。「富途牛牛」などの報道によると、活性成分はP&Gやロレアルグループ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどのグローバルブランドに供給し、合成香料はジボダンやフィルメニッヒなど海外の香料メーカーに供給している。
02年創業の「安徽華業香料(Anhui Hyea Aromas)」も20年9月に深圳証券取引所に上場した。同年第3四半期累計の売上高は前年同期比2.9%増の1億6000万元(約26億5600万円)で、時価総額は24億元(約398億4000万円)を超える。
ガンマラクトン類やデルタラクトン類などの合成香料を生産する同社は、ホームページによると、全生産量の75%以上を海外に輸出。P&Gのほか、フィルメニッヒやインターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランスなどの香料メーカーに原料を供給している。
製品原料だけでなく、パッケージを製造するサプライヤも上場した。1989年創業の「浙江錦盛新材料(JSPL)」だ。同社も2020年7月に深圳証券取引所に上場した。同年第3四半期累計の売上高は前年同期比20.9%減の2億元(約33億2000万円)と大きく落ち込んだが、時価総額は20億元(約332億円)を超える。
浙江省紹興市に拠点を構える同社はアクリル容器を生産。金型の設計・製作から射出成形、印刷、塗装、組立までを一貫して手掛ける。住友重機械工業や東芝機械など高性能の射出成形機を導入しているほか、塗装ラインなどの自動設備も充実している。同社のホームページによると、エスティローダーやロレアルグループなどの容器を手掛け、全生産量の半数を欧米や東南アジアなどの海外に輸出している。
設備メーカーにチャンス
今年になっても「格林生物科技股份(Hangzhou Grascent)」や「万香科技股份(WANXiang)」などが深圳証券取引所の新興企業向け市場「創業板(チャイネクスト)」への上場申請を受理されており、サプライヤの上場ラッシュはしばらく続きそうだ。
上場で資金を調達したら、各社は当然、生産規模を拡大させるだろう。海外ブランドは特に品質に対する要求が厳しく、サプライヤは生産から検査までさまざまな設備を必要とされる。設備メーカーにとって、大きなチャンスになりそうだ。